Chouette Ange

観劇記と好きなひとたちについて

宝塚雪組「壬生義士伝」

ひさしぶりに宝塚について。ちょっとお休みしておりました。

もう半月経ってしまいましたが、千秋楽を無事に休演者も出ることなく迎えられ、終えることができて本当によかったです!
ジジくん、ご卒業おめでとうございます。

 

石田先生で、再びの新選組ということで、正直期待値は低かったです。(すみません)
いい意味で期待外れ、とならず残念でした…。でも面白い!と言っている人もいたし、他組贔屓の方とたまたま劇場で遭遇したときも満足してくれていたので良かったのかなあ。

原作を読んだほうがいろいろと理解できそうだったので(本当はそれもどうなのと思いますが)、My楽の前には読んでおこうと思っていたのですが、バタバタしていて断念。
なので、私の感想は宝塚で見たこと一本勝負です。結構このエントリはトゲトゲしいかもしれません(笑)

 


①脚本・演出について
 
まず鹿鳴館の場面は正直いらないと思う。
初見のときは冒頭から『幕末の、新選組のお話しだったよね…?』とやや混乱しました。
斎藤一が登場するときのBGMや幕を使った演出、暗転の仕方が盆やセリがない簡素的な舞台となんら変わりがなくて、『学芸会じゃないんだから』と呆れてしまいました。まあ、今に始まったことではないけれど…。
幕末の時代を見てれば理解できることをわざわざ説明させたり、鹿鳴館ターンの序盤で維新や西南戦争のお話しをすでにしたり、辻褄が合わないことも多々あり…。

 

一番気になるのが主人公の吉村寛一郎があれだけ家族のことを想う場面や、家族のために人を斬る場面、必ず帰るからと歌わせたりと”かんいちは家族ありき”で描いているのにも関わらず、良くわからない”義のため”に最後朝廷軍につっこんでいって、最終的には命を落としてしまうということ。
『土方たちと大阪城いけよ』って思うのは普通のことだと思うんだけど…。
義のためとか、まあ言わんとするところは分かるっちゃ分かるけど、あんなに守銭奴守銭奴と言われながら家族のために働き、送金していた男が仲間に制止されながらも突っ込むという矛盾。
土方や斎藤とかの方がよっぽど、義のために突っ込んでってもおかしくないのでは思ってしまう…。

鹿鳴館パートを作るなら、大事なのはこの一番肝となる部分に時間を割くべきだったと思う。

それ以外はヒロインの出番が少ないとか、娘役の役が少ないとか、男役本位だなあと思うところはあっても(新選組という題材がそもそも悪い)まだ許せるんだけど…。

宝塚歌劇ということを忘れていない?と正直思いました。

かろうじて良かったのは、おみよちゃんが凄く!かわいかったし、やっとやっと着飾れたこと。本当に可愛かった。この点に関しては◎。
あとは曲。すごく良かったと思う。名曲だった。(まあ、トップコンビが+αの魅力を付けているかなあとは思うけど(笑))


②配役について

初見で思ったことは『トップコンビのやる役じゃなくない…???』と。
いや、わかるよ。吉村家が貧しいからそのような装いになってしまうことは。
でも、宝塚はそういうわけにはいかないでしょ??確かに新選組に入隊後はいくらか立派になったとは思うし、おみよちゃんも着飾れたし。
でもやっぱり、身分が上の二番手の咲ちゃんの方が立派な着物になるじゃん。(咲ちゃんは全くもって悪くない)
役としては正しいけれど、でも、宝塚なんだよ!!!やはり題材がわるry


③そこはかとなくある既視感

新選組に触れる題材自体がちぎさん時代から合わせても4作目。(星影/るろ剣/誠の群像/壬生義士伝
………いや、多すぎや(笑)

あとは私が強烈な既視感を抱いたのが、吉村寛一郎・大野次郎右衛門の関係性が星逢一夜の源太と晴興に似てるなあ…と思ったこと。
もちろん、細かい設定とか性格とかは違うけど、なんというか属性が。
そんなことに気づいてしまうと益々今回の脚本の雑さが目立ってしまいました…。


④キャストについて

 

・望海風斗さん
本当にね、熱演で、役に合ったきらきらな存在感を意図的に消すけれど真ん中力もある、という驚異の力を発揮。望海さんの力で脚本の粗も消していたなあと思います。
これは真彩ちゃんにも言えることなんだけど、歌がうますぎてキラキラ消し切れてないときがあって、ちょっとそれはさすがを通し越しておもしろくなってしまいました(笑)
「おもさげながんす」と言って、家族のために頑張る姿に涙を堪えながら観ました。

ちょっとかわいいなと思うところもあり、そこはアテガキっぽさも。
夫であり、父である役はいつもより十割増しで包容力が増すので、それはそれで大好きです。
雪組でだいぶ日本物の経験も積んできたのもあって、殺陣もきれいになったなあとしみじみ思いました。(元から立派でしたが)
ちぎさんの殺陣が迫力があって女性とは思えないのに比べ、望海さんは型がきれいなのかな?と。専門的なことはなにもわからないけれど。
望海さんは決して日本物が似合うタイプではないとは思うのですが、それでも『日本物の雪組』を継承していたのがうれしかったです。

 

・真彩希帆さん
お頭(おかたちってこれで合ってる…?)の側室に上がれそうなほどの器量を持っているということや昔なじみのかんいちと恋愛結婚したことは何とか感じ取れるし、まあやちゃんは確かにそこを打ち出してたと思う!…けど、脚本のせいだけど、最初のきゅんきゅんポイントもっと欲しかったなあと今になって思います……(まあやちゃんは悪くない)

あの出番の中だと”母”という部分がいやに協調されちゃうから…まあ、脚本のせいなんですけど!!!
寛一郎が脱藩してからのお芝居は胸に詰まったなあ。まあやちゃんとは正反対のお役だけど、本当に儚かった。
対して、おみよちゃんは本当に本当にかわいくて眩かった~!!おみよちゃんとの場面はあれで正解なのだけど、せつない……幸せになっておくれ。

 

・彩風咲奈さん
咲ちゃんは研3のときから見ていたせいか、本当にいつも申しわけないくらいおばば目線になってしまうんですけど、またさらに大きくなった姿に目を見張りました!!
お役も武家でお偉いさんなので衣装も劇中だとかなり立派なのだけど、衣装に見合う存在感。
本当にひとまわりもふたまわりも大きくなったなあとまた感慨深くなりました。
”望海さんのような2番手になりたい”と言っていたけれど(言ってたよね?間違っていたらごめんなさい)、比べる必要もないくらい咲ちゃんらしい立派な2番手さんだなあと思いました。
生粋に雪組の御曹司をこんなふうに見ていられるなんて幸せですね。
咲ちゃんの2番手の役の運はすばらしいと思うので、このままぐんぐんファンがついていってほしい。

 

新選組のみなさま
翔くんの土方はだいぶ、解釈から遠くて最初戸惑ったけど、雪組の男役としての美学が見えてすばらしかった。本当に袴がよく似合う。とってもかっこよかったです。
あーさの斎藤一はすごく骨太でアイドルらしさが消えていて、私はとても好きでした。FNSで”アイドルっぽい!”と気になった方はすごいギャップだったのでは?個人的には維新後の警服姿が好き。
ひとこの沖田も儚さと危うさも持ち合わせていて、ぴったりでした。すこし狂気を孕んだ演技が素晴らしかったです。

縣くんのさらに磨きがかった華と袴裁きも素晴らしかったし、はいちゃんもだいぶ押し出しが出て頼もしかったし、すわっちの安定感はさすがでした。好き。
にわさんの谷とカリちゃんの種類の違った狡猾さも見事でした。
まなはるの近藤さんも…なんていうか、まなはるの滲み出る人の好さにぴったりでしたね。雪組で育ち、雪組を支えるまなはる・翔くんと同期のふたりが近藤・土方というのも、感慨深かったです。

 

吉村家と大野家のみなさま
新公主演コンビのあみちゃん&みちるが本公演では子供の役ということで、これは素晴らしい配役・采配だったなあと思います。
あみちゃんは本当に望海さんに似ていますね!まっすぐに向かっていく様がぴったり。みちるはさすがの演技でした。
じろえの子供はあやなちゃん演じる千秋。ここも咲ちゃんーあやなラインの説得力よ…!大きくなったみつとのカップルもとてもよかったです。ひらめちゃんは娘役の鏡。
あやなちゃんとあみちゃんが雪組下級生でお気に入りのふたりなので、けっこう私得でした。りーしゃもさすがだったなあ。

 

鹿鳴館
ゆきのちゃんの鍋島夫人が艶やかで、さすがの存在感でとてもよかった。あやなちゃんの白衣姿が…性癖ぶっささりました。(言い方な)

 

・芸者のみなさま
銀橋に並んだときが本当に壮観で、雪組の娘役は本当に粒揃いだなあと誇らしくなりました。国中に自慢して回りたくなった。冗談じゃなく胸が震えました。
私はとくにひまりちゃんが大好きなのですが…首が長いので本当に似合うんですよね!益々艶やか。今の雪組で雪華抄のような和物のショーもみたいな~と思いました。

 


雪組生は本当に本当にすばらしかったです!!
脚本演出に文句ばっかり言ってごめんなさい。このくらいにします(笑)
次はショーについて。一気に語彙力皆無になりますが、こちらがメインですので。せっせとエントリします!戯言にお付き合い頂いた方おられましたら、ありがとうございました。