Chouette Ange

観劇記と好きなひとたちについて

宝塚雪組「凱旋門」

 

久々すぎる更新…(笑)
書きたいことは沢山あったのですが、日々の忙しさに飲まれておりました…。

先日、ようやく急きょでしたが雪組凱旋門/Gato Bonito!!を観てきたので忘れないうちに初見の感想を。

今回は仕事を優先にして頑張ろうと決めていたので、ツイッターもヅカ垢絶ち、映像も極力見ない(初日映像とか)とムラを経て東京でも10日ほど公演をしていたのにも関わらず、前情報はあまり無い状態で臨みました。(まあ大体のあらすじと何曲かは知っていたけれど)

初演も知らないので、まっさらな私の感想となります。原作も未読です。
いざ、書き出してみるとネガティブな感想ばかりに…(笑)
ネタバレもすると思いますが、それでも良いよ~という方は読み進めて下さいませ。

 


前回の全ツは私はどうしても都合がつかず、観ることが出来なかったのでひかりふるの前楽ぶりの雪組さんでした。
こんなに観ないのは望海さんのファンになってから初めてのことで、観劇前は緊張と期待とが入り混じった状態。

「望海さんの開演アナウンスで泣いちゃうかもな~」とかのんきなことを考えていたのですが、まず、開演アナウンスは望海さんでは無かった。
当たり前です。だって主演は轟さんだもの。分かっていたし、今回の理事降臨に関してはそりゃ色々思うところはあるけれど、降臨しちゃったものは仕方ないし、受け入れるしか無いなと思っておりました。

でも、理屈と感情は違ったようで。
のんきな事を考えていた私が悪いんですけど、開演アナウンスの時点で私の気持ちは沈んでしまって、それまでがドキドキわくわく状態だったぶん、余計落差が激しくて、その時点でわたしは『前向きな観る態勢』では無くなってしまったんですね。
つまり、わたしのモチベーションがマイナススタート。

だからなのか、いまいち乗り切ることが出来ずに最後まで終わってしまいました。何故なのか、何点か上げていこうかと。


①感情移入を出来る人がいなかった。

 

私は基本、贔屓とヒロインの役に感情移入して観ることが多いです。

分かりやすく望海さんの2・3番手時代のお話しをすると、星逢は源太と泉に感情移入していたので、基本的にはふたりを軸にした百姓側寄りでしたし、2014年の花組エリザはストーリーテラーのルキーニ目線だったのでシシィとトートを俯瞰していて観ていました。
それでも、シシィには共感できる部分が多かったし、トートとシシィの愛の物語としても見ていました。

 

今回、この凱旋門では望海さん演じるボリスは、ルキーニと同じストーリーテラーの役目が大きいので、当然俯瞰して観ることが多かったです。
何というか、ボリスという役は不思議で…ニヒルでやるせなさやどこか冷たい部分を感じさせたかと思えば、ラヴィックに対してや世の中に対して熱くなったりといまいち掴めなかったな~と。
ストーリーテラーというのを抜きにしても、私には感情移入しづらかった…。
(どうせなら、ジェラ山*1みたいに振り切っておもしろい役(おいw)の方が楽しめたなーと。)

そこで、問題なのはヒロイン・ジョアンに対して感情移入できるかどうか、なのですが…
結論から言って、申し訳ないけれど、私は一番受け付けないタイプの女性像でした。

私自身の価値観の根底として、自立心が強く自分の足で立って生きていきたい・パートナーとは対等でいたい、というものが強くあり。
だからこそ、ジョアンの浅はかさ、愚かさが理解出来なかったし、男性から見ればどこか放っておけない女性なのかもしれないけれど、私から見たらただの恋愛体質で甘ったれで、短絡的に言うと馬鹿な女、としか見れなかった…

初演の18年前だったらこういう女性でも受け入れられたのかもしれません。
凱旋門の時代の中では、女性はジョアンのようでなければ生きづらかったのかもしれません。
それでも、私にはだめだった、受け入れられなかった。

大体、どんなヒロインでもどこか共通点を見出して、嫌いにはならないんだけれどな。

一つ言っておくと、これは真彩ちゃんの問題とかではなく、多分誰がやっても受け入れられなかったと思う…。
というか、自立心が強く、諸突猛進で先進的な考えを持つ役がぴったりな真彩ちゃんに今回のジョアンを演じさせるのも私的にはつらかった。。

 

②真ん中のアンバランスさ…そして、限界を感じた。

 

私には、もう理事が主演として大劇場に立つことに限界を感じました。
2000以上のキャパを持つ、大劇場の主演を約3か月張るのは、もう厳しいと。
レジェンドのような存在かもしれない、組子への影響や刺激も大きいかもしれない、でも今この雪組で主演をする必要はあったのか?

今が旬のノリノリのトップ、伸び盛りのトップ娘役。
その間に挟まれているのを見て”不憫”と感じたし、今の雪組の勢いを押し殺しているようにしか見えなかったです。
そして、こんな不憫と思われる前にしっかりした勇退の場を用意すべきだったと思います。
まだまだ、理事として劇団にいるのならば、もっと別のかたちで現役生たちに与えられることがあるのではないでしょうか…。


③番手不足な配役

 

私は雪組が大好きなので、役の少なさと生徒に対しての役不足さとがつらかった。
特に咲ちゃん*2雪組の正2番手ですよね???
本当にひかりふるのジョルジュが凄く良くてファンも増えたはずなのに、本当にもったいない。
ここの役付きによってこのまま波に乗るか決まるって劇団側には察することはできませんか?
正二番手にしたってことは、このままトップにするって意思表示ですよね?それなら、しっかり責任もって押し上げてほしい。2番手のときにおいしい役与えてファン増やさないと。

正直、いい役だなと感じたのはあーさ*3のハイメだけだったな。
ハイメとユリアのカップルは主演カップルの対比が良く出ていて、爽やかでかわいいカップルでした。

あの暗さの中の良い清涼剤になっていたなあと。
みちる*4ひかりふるの時もそうだったけれど、本当にいい仕事をする。
何より、歌がめちゃくちゃ良くなっていて、感激しました。長く雪組で活躍してほしい。


④結局、ラヴィックの半生を通して何を伝えたかったのか?

 

わたしが第二次大戦中のフランス情勢の時代背景に疎い、というのもあると思います。(日本の状況くらいは知っていますが…)
世の中は混沌としていて、生きること自体に精一杯だったのだという想像しかできません。
ナチスドイツについても、一般的な表面上の知識しかありません。

この時代を生き抜くことを通しての“いのちとは”というところを伝えたかったのかなというのはわかるのですが、観終わってまず思ったのが、『で、これは何を伝えたくてどんなお話しだったんだろう?』と。

ただ、ラヴィックの半生を見せているようにしか見えませんでした。
ジョアンとの恋も、ボリスとの友情も、シュナイダーに対する復讐もすべて中途半端に感じました。

このへんはもう一度観劇したら、もっと咀嚼できるのかな。


さんざんな書き方してしまいましたが、久しぶりの雪組さんはやっぱりみんな愛おしいし、成長を感じたし、改めていい組だなと感じることができました。
ひかりふるを通して、全体的に本当に歌がよくなりましたね。
ちぎみゆ時代は演技が良くなり、だいきほ時代は歌が良くなり…とトップコンビと組子は鏡だなあと改めて感じました。

次の観劇も楽しみです。
もっといいところと見つけられますように!!!

 

 
と、いったん締めたのですが(笑)、UPする前に二回目の観劇をしたので+αですこしだけ。

二回目を観劇して思ったこと。
この物語全体を通して言わんとしていることは何となく伝わったし、”いのち”という曲が全体のテーマであることも分かりました。二次大戦のころの社会全体の重さが背景にあること、、今の時期の上演も染み入りました。

が、やはり私は特にジョアンをシャットダウンしてしまっていて、物語の真髄まで入り込めず…。
途中から、望海さんのラヴィック・咲ちゃんのボリスで見てみたかったなーなんて思いながら見てしまいました…。
というのも、アンリはあやなちゃんで見てみたかったなと思ったことが始まりで。ひとこアンリとかも中々良かっただろうなあとか。
でも、そのくらいの若手のための役じゃないの?アンリは。初演もそうだったように。
そうすると、大分バランスがいい配役になるんだけどなーと思ってしまいました…

あと1~2回は観劇する予定ですが、果たして楽しむポイントが見つけられるのか…。

 

 

 

*1:るろうに剣心の加納惣三郎、ことジェラール山下

*2:彩風咲奈さん

*3:朝美絢さん

*4:彩みちるさん